建物内部のアスベストによる被害は、住人や利用者の健康を脅かすリスクはもちろん、建物自体の資産価値評価を下げ、不動産経営を悪化させるリスクをはらみます。また、風評によるブランド価値の低下、損害賠償の発生なども予測でき、企業経営に多大な影響を及ぼします。

これを受け、2011年3月期より、アスベストを使用している建物に対して、国際会計基準とのコンバーションを目的とした『資産除去債務』の計上が強制的に適用されます。これまで薄外債務にあった「環境債務」はオンバランス化され、資産除去債務を合理的に見積もった上で財務に計上しなければならなくなりました。

住人や利用者の健康と安心を確保し、建物の資産価値を守るには、アスベストを完全除去することが理想です。しかし実際には、“対策済み”とされている建物内部でも、従来工法では実施や解決が困難な場所にあるアスベストは、事実上「無策」のまま放置されているケースが多々あることが判明しています。